感謝
あなたのハートが感謝でいっぱいになっているときは、閉じているように見えるどんな扉でも、
さらにもっと大きな祝福への開き口となりえます。
禅の究極を達成した女性たちはごくわずかしかいない。蓮月はそうした女性たちのひとりだ。
彼女は巡礼の旅をしていた。
日が暮れるころある村に着いたので一夜の宿を求めた。だが村人たちは扉を手荒く締めた。彼らは町の伝統的な仏教徒だったにちがいない。彼らはこの禅の女性がそこに泊まるのを許さなかった。彼らは彼女を村から追い出した。
寒い夜で、年老いた女性には泊まるところがなく、空腹でもあった。
彼女は野原に立っている一本の桜の樹を拠りどころにしなければならなかった。ほんとうに寒くてよく眠れなかった。それに危険でもあった。野性の獣やなにもかもが。
彼女は真夜中に目が覚めた——とても寒かった。
そして春の夜空に、満開になった桜の花がおぼろ月に向かって笑っているのを見た…
その美しさに圧倒されて、彼女は起きあがり、村の方角に向かってお辞儀をした。
宿かさぬ
人のつらさを
なさけにて
おぼろ月夜の
花の下ぶし
私が泊まるのを断るという彼らの親切さゆえに
私はこのおぼろ月の夜に花の下にいる自分に気がついた
私はこのおぼろ月の夜に花の下にいる自分に気がついた
この桜の花
おぼろ月とのささやき合い
夜の完全な沈黙
非常に感謝して、彼女は自分の宿泊を断った人たちに礼を言った。さもなければ、彼女は普通の屋根の下で寝ていてこの祝福を逃していたことだろう。
彼女は怒ってはいない。彼女はそれを受け容れるだけでなく喜んで迎え入れる。彼女は感謝を感じる。
生は途方もない。
そして毎瞬、それはあなたへの千とひとつの贈りものをもってやってくる。
だがあなたは、欲しがっている自分のマインドで非常に忙しく、心を奪われているために、自分の考えであまりにもいっぱいになっているためにその贈りものをすべて拒絶する。
神はやって来る
——あなたは拒絶しつづけている。
生がもたらすすべてを
感謝をもって受け容れる瞬間
人はひとりの覚者になる